重度障害学生のための海外留学奨学基金制度

※現在、本制度は見直しを行っております。新制度が決まりましたら、本ページにてご案内いたします。

―たとえ重度の障害があっても、世界で活躍するリーダーに育てたい―

アビリティーズ海外留学奨学基金制度創設

日本アビリティーズ協会は、2007年、海外留学・奨学基金を創設しました。まず英国・オックスフォード大学の協力を得て、心身に障害のある学生の留学を支援いたしました。

アビリティーズ・ケアネットの事業活動を通じて、また、さまざまな業界・企業にも参加、協力をいただき、多くの障害学生を支援して参ります。

 望まずして、心身に障害を受けた人々が、日本に、アジアに、そして世界中にたくさんいます。誰にとっても一度切りの人生なのに、障害があるがゆえに、子どもの時から重荷を背負って生きていかねばなりません。たいていの場合、生きている限りそれが続きます。

 医療を受けるために、「病院がわが家」のようになる子どもたちも多くいます。特別支援教育を受けることが出来ても、学力はたいてい遅れがちになります。卒業しても、現実にはほとんどの人が仕事らしい職に就けません。

 障害を受けた人たちの多くは、このように、しっかりとした教育を受ける機会を失っています。その結果、多くの人々が生涯を通して、人々のずっと後ろを歩いていかねばなりません。しかしどんなに重い障害があっても、誰もなにかしらのすばらしい力、能力を必ず与えられています。

 アビリティーズ運動は、1966(昭和41)年に創設、「人間に無能力者はない、あるのは能力者だけだ」と宣言し、心身に障害のある人が自立生活を確保し社会参加できるための運動を展開してきました。今に至る50年間、それを実現するためのプログラムや事業を拡大してきました。

2007年10月14日(日)夜、制度創設を記念するコンサートを東京・サントリーホール(大ホール)にて開催させていただきました。アビリティーズ運動をお支えいただいている多くの企業、病院、福祉施設、団体、そして当協会会員、とりわけアビリティーズ・ケアネットのたくさんのお取引先様より、広告やさまざまなご賛助を賜りました。絶大なるご協力をいただき、深く御礼を申し上げます。

サントリホールでの制度創設を記念するコンサート

サントリホールでの制度創設を記念するコンサート

奨学基金賛助企業と商品

アビリティーズ・ケアネットが提携する海外・国内企業に協力を要請し、下記の各社から賛助メーカーとしてご参加いただいています。それぞれの賛助商品をアビリティーズ・ケアネットを通じてご購入いただくと、その代金のうち一定の金額を各賛助企業より、アビリティーズ・ケアネットに支払われ、それをNPO日本アビリティーズ協会基金として拠出することになります。

 

賛助メーカー 商品
パラマウントベッド株式会社 ベッド
株式会社ミキ 車いす
株式会社タイカ マットレス
ケアメディックス株式会社 スロープ

奨学基金賛助アイテムには、アビリティーズ・ケアネットの商品カタログでは右記のマークを表示しています。

海外留学生

(2010年度)近藤陽子さん

私は現在、オックスフォード大学・教育学部の博士課程に在籍しています。両手・両腕に障害がありますが、日本アビリティーズ協会から奨学金を頂き、介助者の助けを借りながら研究を続けています。イギリスの大学には障害のある学生も数多く在籍していますが、身体に障害のある学生は少なく、さらに私のように大学院に進学後に障害を持つようになった学生は非常に稀な存在です。身体に障害があるということは、体の一部の自由が利かないということであり、とても不自由な学生生活を強いられることになりましたが、時が経つにつれ、私は障害から学ぶことができたことも決して少なくないことに気づきました。これは、後天的に障害を持つことになった多くの人が既に経験していることかもしれませんが、私にとっては初めてのことで、大きな驚きでもありました。

海外留学生(2010年度)近藤陽子さん

近藤陽子さん

近藤陽子さんは、開発途上国における教育の普及について研究をされてきました。特にパキスタン、バングラデシュなどの南アジアでの活動をJICAなどの支援者とともに行なっています。現在オックスフォード大学博士課程で、「バングラデシュ農村部における初等教育の課題─2つのコミュニティーにおける事例研究─」という内容で、バングラデシュ農村部での初等教育を実現するための課題を明確にすることを目的に研究にとりくんでいます。

大学入学後に両手首、両肘に反復運動過多損傷を患らい、現在では握力を伴う全ての作業において支障があり、論文の作成についてもタイピストを雇うことを必要としているほどです。身体的理由により生活と研究に困難を要している近藤さんに、当協会は奨学金を支給しています。近藤さんは、卒業後、開発途上国において、教育普及や貧困削減に関わる仕事に戻ることを希望しています。

バングラディシュにて、村の女性と近藤陽子さん

バングラディシュにて、村の女性と近藤陽子さん

バングラディシュの質素な作りの家

バングラディシュの質素な作りの家

近藤様の最終レポート

障害のある私が留学生活を通して学びました事をご紹介させていただきます。と、完結編をご報告いただきました。

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