東京都葛飾区コミュニケーション促進条例を施行 ー障害ある人の社会参加をー

2021年01月14日

#

東京都葛飾区では、障害のある人の社会参加を促進し、すべての区民が障害の有無に関わらず共生する社会を実現するため、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を選択することができる環境を充分に整えていくことが重要として「葛飾区手話及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」を制定、平成31 年4 月より施行した。

「一般社団法人 障害者の差別の禁止・解消を推進する全国ネットワーク」が取材

障害当事者とともに条例作り

この条例は、障害者差別解消法の制定にあわせ、さまざまな種類のある障害について、その特性を理解し、コミュニケーションを促進するために、平成30 年から、同区の障害者差別解消支援地域協議会の専門部会である「差別解消部会」にて検討がなされ、31 年4 月1 日に施行された。
条例では、手話その他の形態の非音声言語も言語であるとの認識に基づき、障害のある人にとって、コミュニケーション手段の選択が可能な環境整備が不可欠であること、すべての人の、必要とする手段を用いてコミュニケーションを円滑に図る権利が尊重されなければならないことなどを基本理念として定めている。また、上記理念に基づいた施策推進を区の責務とし、理念の理解と施策への協力を区民に求めるとともに、事業者の役割として、多様なコミュニケーション手段を利用するための合理的配慮の提供に努めることを定めている。
「差別解消部会」には、障害当事者も参加し、検討を重ねた。また、障害6 団体にヒアリングを行ない、障害者の抱える課題を明らかにしていった。
他にも、当事者団体や区民からの声で、「自動車の免許更新手続きのときに、手話通訳が入れなかった」、「盲導犬を連れて飲食店に行ったが入店を断られた」、「相談が電話でしかできない」など、それぞれに必要なコミュニケーション手段が用意されなかったため不便を感じていた事例が判明した。

高齢の来庁者・職員間の意思疎通にも効果

当事者団体は、みな好意的に協力、意見を出してくれた。啓発用リーフレットの作成にも参加してくれた。パブリックコメントも行なったところ、区民から約50 件の意見があった。
このような経緯で成立した条例だが、障害者とのコミュニケーション充実のための取組みが、結果的には、多く来庁される高齢者や、職員同士の意思疎通にも役立っているという。
また、同区役所の窓口には、手話通訳者と聴覚に障害がある相談員が常時待機しており、支援が必要な来庁者の対応を行なっている。聞こえる通訳者と聞こえない相談員を選べるようになっており、いつ、どのような区民が来ても対応できる体制をとっている。多い時には、1日10 組以上の対応をすることもあるという。他に地域の聴覚に障害がある「デフママの会」と手話サークル会員が、子どもたちへの啓蒙のため、学校への手話の出前講座などで活躍している。
これからも、役所からの強制ではなく、当事者と相互に歩み寄る形で、区民への条例の理念の周知に努めたいと、区民向け障害理解講座の開催など、区ではさまざまな取り組みを進めている。

協会報葛飾区.JPG啓発用リーフレット
「障害のある人も ない人も共に生きる社会の実現に向けて」

条例の概要と共に、障害の特性と配慮の例が掲載されている。
内容の検討、イラストの作成については、区内の障害当事者も参加した。
▼ 障害の状況に対応した配慮の例(リーフレットより)
○ 聴覚障害(ろう者、中途失聴者、難聴者、盲ろう者のそれぞれの特性解説もあり)
・ 聞こえ方などにより、コミュニケーション方法はさまざまです。その人に合ったコミュニケーション方法を確認してください。
<手段の例> 手話、要約筆記、口話、筆談、触手話、指文字など
○ 視覚障害
・「 あれ」「これ」などの指示語は使わず、具体的に伝えてください。「何時の方向に〇〇があります」などと伝えていただけると助かります。<手段の例> 点字、音訳、拡大文字など
○高次脳機能障害
・用件は、紙に書いて渡してください。
・ 質問は、二者択一でどちらかを選ぶようにしてもらえると分かりやすいです。
<手段の例> 絵、図、平易な表現など

葛飾区のホームページからもダウンロード可能。
福祉部障害福祉課援護係『啓発用リーフレット

防災無線確認用アプリ配信開始

また、同区では、災害時の防災無線の内容を確認できるスマートフォンアプリ(名称:「かつラッパ」)の配信を開始した(2020 年9 月23 日より)。
屋内や台風時などの「防災行政無線が聞き取りにくい」との声に対応したもので、都内23 区では初めての取組みとなる。
「かつラッパ」では、防災行政無線の放送内容が、音声や文字(テキスト)で表示され、過去の放送内容も確認できる。音声でも確認でき、多言語(英語・中国語(簡体文)・韓国語)も対応可能。
スマートフォンのGPS(位置情報)をON にしておくと、現在地から近い避難所を探すこともできる。

【防災行政無線確認用アプリ】
葛飾区ホームページまたは地域振興部危機管理課災害対策係 TEL 03-5654-8572
防災行政無線確認用アプリ「かつラッパ」

 

本記事は 日本アビリティーズ協会 情報誌 No.171 より転記しました。

この記事へのお問合せはこちらから。下のボタンを押すとお問合せフォームが開きます。

Share: