学校施設のバリアフリー化の加速の動き

2021年07月12日

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令和2年5月、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)及び同法施行令の一部改正により、一定規模以上の新築等を行う場合に建築物移動等円滑化基準(以下「バリアフリー基準」という。)の適合義務の対象となる特別特定建築物として、公立の小中学校等が新たに位置付けられました。既存の当該建築物についても同基準の適合の努力義務が課せられることとなることから、学校施設のバリアフリー化をより一層推進していく必要性が高まっています。

文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部では、このような状況を踏まえ、「学校施設のバリアフリー化等の推進に関する調査研究協力者会議」を設置し、既存施設を含めた学校施設におけるバリアフリー化等の推進方策等について検討がなされ、学校施設バリアフリー化推進指針が取りまとめられました。

ここではこの検討報告と推進指針をピックアップしてご紹介します。
(参考、「学校施設におけるバリアフリー化の加速に向けた緊急提言(令和2年9月)」、「学校施設バリアフリー化推進指針(令和2年12月)」 学校施設のバリアフリー化等の推進に関する調査研究協力者会議(文部科学省)

 

1.学校施設におけるバリアフリー化の加速が必要となる背景等

(1)インクルーシブ教育システムの構築の視点

  • 学校は、子供たちにとって未来の社会に向けた準備段階として学びを深める場であるとともに、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく場でもある。
  • 近年では、障害、性別、国籍、経済上の理由などに関わらず、「共に育つ」ことを基本理念として、物理的・心理的なバリアフリー化を進め、インクルーシブな社会環境を整備していくことが求められており、学校においても、障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができるよう環境を整備していく必要がある。
  • 「障害者基本法」、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」などの関連法の整備が進められたことや、「障害者の権利に関する条約」が批准されたことに伴い、国・地方公共団体等や事業者による合理的配慮を提供することや、インクルーシブ教育システムの理念を構築し、特別支援教育を進展させていくことが求められている。
  • 近年、特別支援学級に在籍する児童生徒や通級指導を受ける児童生徒の数は増加傾向にあり、公立小中学校等の約8割に特別支援学級が設置されている。
  • 「障害者の雇用の促進等に関する法律」が改正され、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止や、合理的配慮の提供の義務について規定されたこと等を踏まえ、障害のある教職員が働きやすい環境整備を進めていく必要がある。

(2)災害時の避難所等地域コミュニティの拠点の視点

  • 学校施設は、公立小中学校等の9割以上が災害時の避難所に指定されており、災害時には地域の高齢者や障害者等も含め、不特定多数の方々が利用することが想定されることから、学校施設が避難所としての役割を十分に果たしていくためにも、学校施設のバリアフリー化も含め、避難所としての防災機能を一層強化していくことが必要である。
  • 選挙等で高齢者や障害のある保護者や地域住民等の学校訪問等への配慮はもとより、これからの時代に必要となる資質・能力の育成や、地域とともにある学校づくり等を進めていくため、学校と地域が相互に連携・協働していくことが求められており、学校は、新学習指導要領に盛り込まれた「社会に開かれた教育課程」の実現や、生涯学習・地域コミュニティの拠点としての役割を果たしていく必要がある。

(3)バリアフリー法の改正

  • 令和2年5月、改正バリアフリー法が公布され、一定規模以上の新築等を行う場合にバリアフリー基準適合義務の対象となる施設(特別特定建築物)に公立小中学校等を追加するための規定が整備された。今後制定される政令において、公立小中学校等が特別特定建築物に新たに位置付けられる予定であり、施行日以降に新築等される公立小中学校等については、改正後の法令への対応が必要となり、既存の当該建築物についてもバリアフリー基準適合の努力義務が課せられることとなる。
  • 改正法の附帯決議には、設置主体や規模に関わらず、全ての学校施設のバリアフリー整備を推進することや、既存の学校施設であっても、数値目標を示し、バリアフリー化を積極的に進めることが盛り込まれたところであり、改正法の趣旨等を踏まえ、今後、公立小中学校等をはじめとして、既存施設を含めた学校施設のバリアフリー化を一層加速していく必要がある。

 

2.学校施設のバリアフリー化の状況と整備目標の提言

文部科学省調査によると、近年、新築や増築等を実施した一定規模(2,000 ㎡以上)の公立小中学校等のうち、エレベーター、多機能トイレ、スロープのいずれも整備している施設は約9割となっている。他方、既存の学校施設については十分に整備されているとは言い難い。

学校設置者等がバリアフリー化を推進していく上で上げられた課題では

  • 屋内運動場が避難所になることが多く、校舎だけでなく、屋内運動場も、障害者等に配慮したトイレの設置などのバリアフリー化が必要である。
  • 学校の特性や利用者の利便性を踏まえれば、各階に障害者等に配慮したトイレの設置が望ましい。
  • 既存の学校施設におけるエレベーターの設置を進めることが重要である。
  • 学校敷地内あるいは駐車場から建物までの経路に段差等が生じている学校もあり、建物内の各教室等までの経路はもとより建物外の経路の移動等円滑化も進めていくことが必要である。
  • 小規模な地方公共団体の教育委員会には技術職員が不在の場合があり、学校施設のバリアフリー化を一層推進していくためには、技術的なサポートが必要である。

学校を取り巻く社会情勢等を踏まえると、大部分を占める既存施設を含めた学校施設のバリアフリー化を一層推進する必要がある。その際、様々な障害の特性にも考慮しつつ、校舎や屋内運動場など建物内部だけでなく、建物間や駐車場から建物までの経路等も含めて学校内の円滑な移動が確保できるようバリアフリー化を目指すことが重要である。

目指す目標として、バリアフリー法に基づく基本方針における整備目標期限となる令和7年度末までの5年間のものが提示されている。

【学校施設のバリアフリー化に関する整備目標案】

対象   令和2 年度
(現状)
令和7年度末までの目標案
車椅子使用者用トイレ 校舎 65.2% 避難所に指定されている全ての学校に整備する
※令和2年度調査時点で 総学校数 の約 95% に 相当
屋内運動場 36.9%
スロープ
等による
段差解消
門から建物の前まで 校舎 78.5% 全ての学校に整備する
屋内運動場 74.4%
昇降口・玄関 等から教室等まで 校舎 57.3%
屋内運動場 57.0%
エレベーター
1階建ての建物のみ
保有する学校を含む
校舎 27.1% 要配慮児童生徒等※が在籍する全ての学校に整備する
※令和2年度調査時点で総学校数の約40%に相当
屋内運動場 65.9% 要配慮児童生徒等※が在籍する全ての学校に整備する
※令和2年度調査時点で総学校数の約75%に相当

※円滑な移動等に配慮が必要な児童生徒や教職員等を指す。

3.運営面でのサポート体制等との連携を考慮

障害のある児童生徒等に対しては、施設のバリアフリー化のみならず、教材・教具の工夫や、安全かつ円滑に出入りや便所等の利用ができる教室の使用など、ハード面での配慮に加え、施設をより利用しやすくなる運営・管理、人的支援等のソフト面との連携などについて考慮することが重要である。また、医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等をはじめ、学習面だけでなく生活面においても個々の状況に応じ、人的サポートが必要となる場合があるため、学校施設の整備においては、これらのサポート体制と連携した計画とすることが重要である。

 

アビリティーズの果たす役割

「学校で幾度となく迫ってきた学びの機会の危機、そして就職における入口差別」、アビリティーズ運動はこのような障害児(者)の実体験から起こりました。

アビリティーズ・ケアネット(株)と日本アビリティーズ協会は、子どもを含む障害のある方の自立と社会参加の推進に取り組んできました。また、障害者差別解消法の制定や運動障害者雇用促進法の改正の運動を行ってきました。
詳細は「アビリティーズ運動の活動を参照。

学校のバリアフリー化のためには、多くの福祉機器が役立つものと考えています。そして、高齢者・障害者の住宅や生活サポート経験が運用に役立つと考えています。

アビリティーズは、バリアフリー事業やアビリティーズ協会の活動を通じ、学校のバリアフリー化を推進・サポートしていきます。そして、事例を広報していきます。

インクルーシブ教育に向けて、学校をバリアフリー化 の特集をご案内します。

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