姿勢保持と床ずれ予防のための福祉用具

床ずれが起こす問題と予防方法
床ずれとは?
床ずれ(褥瘡)は、同じ姿勢で長時間圧迫されることで皮膚やその下の組織が傷つき、壊死してしまう状態です。
主に寝たきりの方や車いす利用者に起こります。床ずれには、軽い褥瘡や重度の褥瘡などその過程にも段階があります。
褥瘡(床ずれ)のステージ分類
【ステージⅠ】
皮膚が赤くなった状態(発赤)

- 皮膚はまだ破れていない
- 指で押しても赤みが消えないことがある
- 痛みや熱感を伴う場合がある
【ステージⅡ】
皮膚の浅い損傷

- 表皮または真皮の一部が損傷
- 水疱(水ぶくれ)や浅い潰瘍が見られる
- 赤い創面が露出することがある
【ステージⅢ】
皮下組織まで達する損傷

- 皮膚の下の脂肪組織まで損傷が及ぶ
- 潰瘍が深くなり、くぼみが形成される
- 脂肪層が見えることがある
【ステージⅣ】
筋肉や骨にまで達する深い損傷

- 潰瘍が非常に深く、筋肉・腱・骨などが露出することがある
- 壊死組織(黒色や黄色の組織)が見られる場合がある
- 感染や重篤な合併症を引き起こす可能性がある
床ずれが起こす主な問題(個人差があります)
- 皮膚の損傷と痛み
摩擦やズレによる擦り傷から皮膚の損傷が起きます。体内の組織や血管から滲出液が染み出す傷のため、痛みを生じる場合があります。
- 感染症の危険
傷口から細菌が入り、炎症や感染が起こることがあります。重い場合は全身感染(敗血症)になることもあります。
- 傷が深く広がる
皮膚だけでなく、脂肪・筋肉・骨まで傷が進むことがあります。
- 治療に長い時間と治療費がかかる
一度できると治りにくく、数か月以上の治療や手術、専門的ケアが必要になることもあります。
- 生活の質(QOL)の低下
痛み・治療・安静などにより、生活やリハビリが制限されます。場合によっては廃用性症候群となります。
床ずれを予防する方法
長時間同じ部分に圧力やズレがかからないようにすることが重要です。
1.体位変換(ベッド上)
ベッドで長時間同じ姿勢を続けると、背中・お尻・かかとなどに圧力が集中します。
- 約2時間ごとを目安に体の向きを変える
- 仰向け・横向きなど姿勢を変える
- クッションや枕を使い、骨が当たる部分の圧力を減らす
2.体圧分散マットレス(エアマットなど)
エアマットなどの体圧分散マットレスを使用すると、体にかかる圧力を分散できます。
- 体圧を広い面で支える
- 同じ部分への圧迫を軽減する
- 介助者の体位変換の負担軽減にもつながる
3. 車いす使用者の予防
車いすに長時間座る場合も、お尻や坐骨部分に強い圧力がかかるため注意が必要です。
- 定期的に姿勢を変える(プッシュアップや体重移動)
- 体圧分散クッションを使用する
- 長時間座り続けず、可能であれば立ち上がりや寝姿勢等で休憩をとる
姿勢崩れが起こす問題と予防方法
座位姿勢崩れとは?
座位姿勢崩れとは、車いすや椅子に座っているときに、本来の安定した姿勢が保てず、体が傾いたり前に滑ったりする状態を指します。
例えば
- 骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなる(円背)
- 体が左右どちらかに傾く(側弯)
- お尻が前に滑り、浅く座る姿勢になる
といった状態が見られます。

このような姿勢の崩れは、長時間続くと痛みや疲労、苦痛となり、活動のしにくさにつながり、さらに床ずれ(褥瘡)などの皮膚トラブルの原因になることもあります。
姿勢崩れが起こす主な問題
- 皮膚トラブル・床ずれ
姿勢が崩れると体圧が一部に集中しやすくなり、お尻や背中などに強い圧力がかかります。
その結果、床ずれ(褥瘡)の発生リスクが高まります。

-
痛みや疲労
骨盤の傾きや背中の丸まりにより、腰・背中・首などに負担がかかり、痛みや疲労が起こりやすくなります。 -
呼吸や消化への影響
前かがみ姿勢になると胸や腹部が圧迫され、呼吸が浅くなる、誤嚥性肺炎になり易くなる、食事や消化がしにくくなることがあります。 -
活動や操作がしにくくなる
姿勢が安定しないと『食事、作業、車いす操作』などの日常活動が行いにくくなります。
姿勢崩れの予防方法
座位姿勢の崩れを予防するためには、長時間安定した姿勢を保てる環境を整えることが重要です。
利用者の身体に合わせて、車いす・クッション・姿勢支持部などを調整し、安定した座位姿勢を作るシーティングが効果を発揮します。
- 身体に合った車いすの使用:座面の幅や高さ・奥行き・アームサポートの高さ・背もたれ、フットプレートの高さなどの調整
- 体圧分散クッションの使用:姿勢の安定や 褥瘡予防
- 姿勢保持の調整:骨盤・体幹・足の位置などを整える
- 必要に応じた姿勢支持具の使用:クッション、シェル型のバックサポート(JAY3)、ラテラルパッドなど
床ずれと姿勢崩れが起きる場面と予防
ここでは 車いす使用に焦点を当て、床ずれと姿勢崩れが起きる場面とその予防について説明します。
高齢者施設

高齢者施設では 体力の衰えがあり自身で姿勢を変えることが難しい方がいます。
これが姿勢崩れや床ずれの原因になります。また、栄養状態が低く、回復力が弱い傾向になりますので、床ずれの発症は予防したいものです。
施設備え付けの車いすを使用する場合、姿勢崩れや床ずれのリスクは高まります。その場合には利用者にあったクッションを選択しましょう。姿勢保持機能の高いクッション(例、ロホクッション、JAYクッション)がおすすめです。
また、車いすクッション選びには“体圧測定装置”をおすすめします。
体圧測定装置は、個人の身体と使用クッションでの体圧を可視化しますので、除圧効果を確認しクッションを選択することができます。
病院

病院では 車いすの利用が初めての方が多くいます。
車いすの利用の経験や知識が少ないゆえ、安易にクッションを選択しがちですが、事前に自分の身体の状態に合ったものを選ばないと、床ずれ発症のリスクが高くなります。
車いすクッション選びには、高齢者施設と同様に“体圧測定装置”の活用をおすすめします。
在宅の車いす使用者

在宅の車いす使用者には様々な方がいますが、比較的体力のある方が想定されます。
活動的な方程、長時間の座位姿勢が想定されますので、床ずれと姿勢崩れの対策はしたいものです。
活動的な方には、体幹の維持がし易い比較的厚みの少ないクッションがおすすめですが、床ずれが気になる方には厚みのあるクッションでも良いでしょう。また、体幹の度合い応じて高さが調整できるバックサポートもおすすめです。
子ども向けには、体の成長に対応可能なの車いすクッション(JAY GS 小児・子供 車いす用クッション)、姿勢保持には子ども用 姿勢保持シート(Firefly ゴートゥー)があります。
長時間座るのが困難な方

健康な方でも、長時間座位姿勢でいるとお尻に痛みが出たり、体がしんどくなる場合があります。
お尻に出来物や病気がある場合にも座位が苦痛になります。このような方にも除圧効果のあるクッションは効果があります。
おすすめしたい福祉用具
1.車いすクッション
車いすを長時間使用する方のためのクッションで、床ずれ予防と姿勢崩れを予防します。
多くのタイプがありますので、身体と用途に合ったものを選択します。下部に選択フローチャートがありますので、合わせてご利用ください。
【 ロホクッション 】

既に床ずれのある方やリスクの高い方から、日常用途の除圧クッションまで幅広い品ぞろえがあります。
- エアセルが優れた体圧分散能力を発揮します
- 床ずれ原因の皮膚下の”ズレ”を予防します
- エアセルの高さと独立した空気室で座位バランスを改善します。
【 JAYクッション 】

コントゥア形状のベース(基部)による座位保持・座圧分散機能と、製法特許のJAYフロー流動体パッドによる除圧機能のダブル効果です。除圧に加え、姿勢が崩れる原因となる骨盤を保持することで姿勢保持を提供し、悪い姿勢による床ずれも防止します。
流動体パッドの量、コントゥアベースの形状に各種のタイプがあります。
【 SSエアクッション 】
エアマットレスにも使われている特殊エアセルで「圧の細分化」を実現しています。
車いすに標準でついている薄いクッションの上に敷いても使えます。
ウレタンフィルム製でパンクがしにくく、お手入れも簡単。軽いため持ち運びにもおすすめです。
空気室構造のクッションでありながら、空気調整が簡単に行えます。
【 アジャストクッション 】
床ずれ(褥瘡)予防および、すでに床ずれ(褥瘡)がある方の回復を目的として、車いす使用者のために開発されたクッションです。
使用者の状態に合わせて、座骨部のU字クッションの入れ替えで高さと硬さを調節することができます。
アジャストクッション専用の防水透湿・抗菌防臭カバー付き。
【 エックスシートクッション 】
特殊ウレタン素材製 軽量で体圧分散性に優れ、安定した姿勢を保つ車いす用モールド クッション。
空気調整なしで使用でき、初めてクッションを使用する方のファーストクッションとしておすすめです。
2.バックサポート
【 JAY J3 車いす用シェル型バックサポート 】
車いすの背シートに代えて、だれでも簡単に使用できるバックサポートです。
子供やアクティブな方、重度の方から高齢者まで、幅広い用途と柔軟な対応性を併せ持ちます。
使用者への背中に合わせて、幅、高さ、および形状奥行の違うバックシェルを多数提供しています。各背面は軽量で調整可能で、多数のハードウェアを選択できます。
【 Firefly ゴートゥー 】
ご自分では座ることが難しいお子さまための、軽量で持ち運びができる姿勢保持シートです。
お子さまの成長に合わせて、多機能に調節が可能なため長く使うことができます。
ご自宅、レストラン、教室、飛行機、歯医者そしてリハビリなど、どこにでもある普通の椅子に取り付けてお子様を座らせることができます。
3.体圧測定装置
【 SRソフトビジョン 】
体圧分布を視覚化・数値化して簡単測定できるセンサー。
圧力の「見える化」が介護・リハビリの新たな可能性を広げます。
車いすシーティング時の、背座などの体圧分布測定に。床ずれリスクの管理や、床ずれ予防クッション・マットレスの選定に。
車いす用クッション選択フローチャート

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