重度障害児者支援施設 ソルウェイズ様(北海道石狩市) 天井走行リフトを導入

2025/09/22

概要

北海道石狩市に誕生した重度障害児者対応のこども未来支援拠点「あいのカタチ」では、医療的ケア児をはじめとする重い障害のある子どもたちが、地域で安心して生活できる社会の実現を目指し、短期入所・デイサービス・小児科クリニックを一体化させた新たな取り組みがスタートしています。

今回、日々成長する子どもたちの身体的な変化への対応とスタッフの負担軽減を目的に、天井走行リフトを導入されました。

医療的ケア児の安心・安全な移乗を実現し、スタッフの腰痛予防や就業環境の整備にも寄与しています。

詳細

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2017年より重症児のデイサービスを中心に事業を展開してきた特定非営利活動法人ソルウェイズ様は、その活動の集大成として、小児科クリニックと短期入所施設を併設した新拠点「あいのカタチ」を開設しました 。

この施設は、医療的ケアを必要とする子どもたちが、日中はデイサービスで友人やスタッフと過ごし、夜は慣れ親しんだ場所でお泊り会のように宿泊できる、「当たり前の生活」の実現を目指すものです 。

利用する子どもたちが成長し、移乗介助をするスタッフの身体的負担が増してきたこと、そして何よりも、子どもたち自身がより安楽な姿勢で移乗できる環境を整えたいとの思いから、天井走行リフトの導入を決定されました。

ハンガー・スリングシートの選定

天井走行リフトの導入にあたり、「拘縮や変形が激しい子もうまく吊れるか?」という懸念がありました。
そこで、同法人の既存のデイサービスに据置型自立レールセットと水平ハンガーを持ち込み、職員の方に立ち会っていただき、水平ハンガーとスリングシート2種類による実証を行いました。

  • 水平リフティングシート: シート幅が狭く左右のサポートが浅いので、吊られている最中に急に痙攣などを起こした際に不安
  • リポジショニングスリング: シート幅が広く、包み込まれる安心感があるが、上肢の変形が激しく腕を内側に折り曲げることが難しい子もうまく吊れるか?

といった現場の職員ならではのご意見・ご感想をもとに、実際の対象児の姿勢や動きを再現しながら評価をいただいた結果、「水平ハンガー+リポジショニングスリングの組み合わせであれば問題ない」ことが確認できました。

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※写真は様々な状況で実証している様子であり、正規の使用方法ではありません。

入浴から生活訓練、そしてリハビリを見据え

2階の脱衣室と指導訓練室、それに1階のリハビリ室の計3部屋に、天井設置型レールを設置。
いずれも「ルームカバリングシステム」(※)により、お部屋全体をカバーできます。

開設当初は指導訓練室とリハビリ室の2部屋で使用を開始し、将来的にはリハビリ室でレール走行式免荷システムによる立位補助・歩行訓練・トレーニング(※)を行っていく予定です。

※ の詳細はこちらをご覧ください。

※ルームカバリングシステムのイメージ
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※レール走行式免荷システムによる立位トレーニンイメージ(メーカー提供の使用例です)

インタビュー

NPO法人ソルウェイズ 協同代表 運上 昌洋 様にインタビューをしました。

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(左)運上昌洋 様、(右)代表 運上佳江様

「あいのカタチ」設立の中心人物であり、ご自身も医療的ケアが必要なお子様を育てる父親でもある共同代表に、今回の施設設立に込めた思いや、製品導入の経緯についてお話を伺いました。

インタビューは、ご自身の経験からくる温かくも力強い思いが伝わる雰囲気のなかで行われました。
(以下、敬称略)

記者:天井走行リフト導入のきっかけは何だったのでしょうか?
共同代表:事業開始から8〜9年が経ち、小さかった子どもたちが大きくなってきたことがきっかけです 。
スタッフが抱きかかえるのも大変ですし、長期的に安心して働いてもらうためにも身体的な負担を減らす必要性を感じていました。
何より、他の地域でリフトを使っているお子さんから「自分は(抱っこより)楽だ」と直接聞いたことがあり、子どもたちの身体への負荷を軽減できるなら、と導入を決めました
記者:どのようなお子さんが利用されているのでしょうか?
共同代表:人工呼吸器を装着しているお子さんが70人を超えるなど、日本でも有数の重い障がいを持つお子さんたちが通うデイサービスです。新施設の短期入所は、将来的には40歳くらいまでを想定していますが、現在は小学生高学年が平均的な年齢層になります。
記者:リフトの使用の頻度と用途を教えてください。
共同代表:デイサービスの利用者120名のうち、半分以上は使う機会があると考えています 。
短期入所は看護を使っている子が色々なところから泊まりに来るので、中々人数というのは難しいかもしれない。
定員は7名ですけど初年度は少しずつ始めていくので、今月は週一回金・土という泊まり方をして人数を増やしてってというかたちになります。
毎日誰かしら入浴をしています。
短期入者が増えていくと、もっとお風呂の稼働率は上がると思います。
入浴でのリフト活用は、スタッフが慣れないと中々難しいので、使い方を教えてもらって活用していくかたちになります。
まだ実際に使えていないですからね。
記者:スタッフの皆様の反応はいかがでしょうか?
共同代表:ほとんどのスタッフが天井走行リフトを使った経験がありません。
そのため、慣れるまでは時間がかかり、最初は抱っこの方が楽だと感じるかもしれません 。
しかし、「子どもたちにとって良いことなのだ」という点を丁寧に伝え、スタッフが身体を痛めずに長く働ける環境づくりのためにも、リフトの必要性を理解してもらえるよう働きかけていきたいです
記者:併せてご導入いただいたインタラクティブ機器「オミビスタ」の評判はいかがですか?
共同代表:内覧会で展示したところ、子どもたちに本当に大好評でした。
他のデイサービスの職員の方々からも「うちにも欲しい」という声が上がるほどです。
リハビリテーションの用途だけでなく、イベントなどでも活用して、いろいろな子どもたちに楽しんでもらいたいと考えています。
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以下「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」通称「いけプロ」について伺いました。

記者:この「あいのカタチ」という施設には、どのような思いが込められているのでしょうか?
共同代表:私自身にも医療的ケアが必要な娘がいますが、その娘たちが「行きたい」と思えるデイサービス、「おばあちゃんの家に泊まりに行くような感覚」で行ける短期入所を作りたかったのです。
親とずっと一緒にいるよりも、友達と過ごす方が楽しい、というのは当たり前の感覚ですよね 。
そのような当たり前の生活の一部として、この場所があってほしい。
子どもたちと家族の「こうだったらいいな」という思いを形にすることが、私たちの活動の基本です。
記者:子どもたちの「当たり前」を追求する熱い思いを感じるお話でした。ありがとうございました!

天井走行リフトは、重度障がいを持つ方々のケアに関わる多くの施設で、ケアの質の向上とスタッフの皆様の身体的負担軽減に貢献しています。
家庭的で温かい雰囲気を大切にされるソルウェイズ様のケア現場で、当社の製品をご採用いただけたことを光栄に思います。

導入商品

お客様情報

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お客様名 特定非営利活動法人ソルウェイズ
業種 福祉・介護事業
導入施設 あいのカタチ:重症児デイサービス、短期入所、クリニック
所在地 北海道石狩市
公式ホームページ  特定非営利活動法人ソルウェイズ

お問合せ

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