「合理的配慮」をカタチに 移乗リフト『ささえ手』が変えた職場の移乗環境

2026/08/25

概要

大阪府にお住まいの久保雅史さんには進行性の難病があります。現在は歩行ができず、外出時は電動車いすを利用しています。

電動車いす等への移乗にもサポートが必要な久保さんは、福祉機器を採り入れ、多くの方々のサポートを受けて過ごされています。

障害者差別解消法で求められる「合理的配慮」を、福祉機器の活用によってさらに充実させた久保さんの事例をご紹介します。

詳細

力任せの移乗介助が大きな負担に

公務員として長年勤務されている久保さん。
電動車いすを使用して毎日片道約1時間かけて電車通勤をし、他の職員と同じように日々の業務に励まれています。

難病の進行により交通系ICカードのタッチが困難になるなど、鉄道を利用するにも誰かのサポートが必要な久保さんは、駅員や鉄道会社のサポートスタッフ、友人、さらには通りがかりの見知らぬ方々のサポートを受けて電車通勤を続けてこられました。

通勤途中のエレベーターの乗り換えは片道10回近くあり、中には久保さんご自身ではボタンを押せないエレベーターもありますが、そこを見知らぬ方々が毎日助けてくれています。

一方、職場では、事務用椅子と車いす等の間の移乗が必要ですが、以前は同僚たちが複数人で抱え上げる、いわゆる「人の力による抱え上げ介助」を行っていました。こうした抱え上げ介助は、介助者にとって腰痛や事故のリスクを伴います。また、久保さんご本人も、落下への不安や、時には身体的な痛みを伴うことがあり、双方にとって好ましい環境とは言えない日々でした。

sasaete-2026082.webp

合理的配慮の実現に福祉機器を導入

2016年に「障害者差別解消法」が、また2024年には同改正法が施行されました。
同法で求められる「合理的配慮」の考え方が社会で広がり始める中、久保さんの職場でも適切な福祉機器はないかと模索が続けられていました。

同僚に負担を掛けず、お互いが安全・安心に移乗できるリフトを探していた久保さんが出会ったのが、アビリティーズ・ケアネット(株)のオリジナル移乗リフト『ささえ手』でした。久保さんは、早速この機器の導入について上席に相談しました。

『ささえ手』は、端座位から半立位に持ち上げ、その姿勢を維持してくれる起立補助リフトです。

機器本体に利用者の胸部を差し入れ、介助者のハンドル操作により利用者を立ち上がらせることができます。大がかりな装着シートやベルト類を毎回セットする必要がなく、ご本人がアームへ身を委ねるだけで使用できる構造が特長です。

介助者も簡単な操作で大きな力を必要とせず、女性一人でも容易に扱うことができます。また、『ささえ手』は、電力が不要で、停電時や災害時、あるいは海外でも、必要な時に使用できます。

これであれば、移乗のたびに大勢の職員の手を止めることなくスムーズに導入できると判断され、2024年3月に所属組織での採用が決定しました。

安全な介助体制で、職務に専念できる環境へ

『ささえ手』の導入により、久保さんの職場環境は大きく改善しました。
以前は複数人の男性を必要としていた移乗介助が、「いつでも、誰でも、少人数で簡単に行えるようになった」ことが大きな変化です。

『ささえ手』は、一人でも操作可能な機器ですが、難病の久保さんの安全を確実に確保する為、職場では複数人で操作することが徹底されています。

久保さんへの合理的配慮は以前から行われていましたが、この機器の導入により、職員たちはより一層協力しやすくなり、自然と多くの職員が介助の必要な久保さんの周りに集まるようになりました。

時には女性職員3人だけで対応することもあるそうです。
久保さんご自身も周囲に気兼ねすることなく、これまで以上に職務に専念できるようになりました。
職場にはお互いを思いやる笑顔が増え、真のバリアフリーを体現する環境が実現しています。

sasaete-2026083.webp

「命に不自由なんてない」―『ささえ手』と周囲への感謝の想い

全身の筋力が徐々に萎縮していく進行性の難病「脊髄性筋萎縮症」と共に歩んできた久保雅史さんの人生は決して平坦なものではありませんでした。

難病や障害があることを理由とした社会からの不当な扱いに苦しみながらも、その問題と戦い続けてきた壮絶な歴史があります。

そんな久保さんが、職場に導入された『ささえ手』を福祉機器展示会(バリアフリー展)で見つけ、会場で開発者への感謝を伝えられたというご縁から、アビリティーズの事務所へ足を運んでくださいました。久保さんが語る機器への評価、そして支えてくれる人々への想いをご紹介します。

(インタビュアー アビリティーズ・ケアネット(株) 野仲辰昭)

『ささえ手』は、どのようにして選ばれたのですか。
久保様:私自身がインターネットで探し出しました。職場内で毎日何回も必要となる移乗を、いかに安全に、周りに負担をかけずに行うか。それが働き続けるための鍵でした。『ささえ手』を見たとき、これこそが自分と職場に最も適応する機種だと直感したんです。
『ささえ手』の使い心地はいかがでしょうか。
久保様:本当にすばらしいリフトです。私の体をしっかり持ち上げてくれる。誰でもどんな場所でも確実に持ち上げてくれる安心感があります。サポートしてくれる同僚たちの負担も軽減されました。
私の大きな身体でも、このリフトを使うと女性職員だけで持ち上げられます。みんなで私をサポートしてくれることがさらにうれしくて、このリフトとみんなに感謝の気持ちでいっぱいです。
おかげで重い障害がある私でも安心して仕事に集中でき、長く働き続けられます。
障害があるということで、ご苦労も多かったのではないでしょうか。
久保様:過去には、障害を理由に悔しい思いをしたことも、孤立させられたこともありました。しかし、自分を見失わずに前を向いて進んでいると、必ず思いやりのある人に出会い、道は開かれていく。私はそう信じています。「障害者差別解消法」の成立は、大きな希望を感じる出来事でした。
久保さんのお話には、周囲の方々への感謝の言葉があふれていますね。
久保様:約10年前に体調を崩してから、自動車通勤から電動車椅子での電車通勤に切り替えました。
手も足も自由に動かない私が電車通勤を当たり前にできるのは、駅員と鉄道会社のサポートスタッフのおかげです。
そして、通勤途中で出会った方、困った私のサポートをしてくれた見知らぬ方々などすべての方のおかげです。

私の病気は難しい病気です。でも家族や友人たち、同僚たち等が見捨てずに私のことをずっと支えてくれました。だから、私は自暴自棄にならず、自分らしい日々を過ごせるんだと思います。

障害も年齢も国籍も職業も地位も関係なく、保育園児から90代の方まで、みんなが私との再会を楽しみに待っていてくれています。
私に寄り添ってサポートしてくれます。今では世界にいるたくさんの親友もです。今の私があるのは、出会ったすべての方のおかげ。その方々は私の『財産』であり、私の自慢です。
大切にしている言葉があると伺いましたが・・・
久保様:ライブハウスで出会ったバンド「イネムリだるま」が『ハウトゥーユーズ』という曲を発表した時のことですが、メンバーの晟皓(せいこう)さんから「あなたがいたから最後の詞が書けた。ありがとうございます。」と言われたのです。

「命に不自由なんてない 君だけの使い道」

この言葉とともに、感謝の気持ちを忘れずに、夢を叶える為に挑戦していきたい。世界の親友たちにも会いに行きたいーーーと思っています。

導入商品

お客様に関する情報

使用者 個人
年齢 50代
性別 男性
疾病 脊髄性筋萎縮症
利用した制度 なし

お問合せ

この記事のお問合せはこちらから。下のボタンを押すとお問合せフォームが開きます。

天井走行リフトの導入で 高齢の家族でも安心して移乗介助ができる住環境を実現
作業しやすい姿勢で 多機能ワーキングチェアー ユニ21